かなわないこと

こんな静寂な夜を過ごすのは、
いつぶりだろう。
 
枝から葉へ伝って
地面へとまるでシンクロするように雨粒が落ちる。
 
その音が耳に触れる度、
荒んだ心が少しずつもとの速さ取り戻す。
 
高木正勝さんのアルバムを流しながら、
ああかなわないな、と口から溢れた。
 
見ている世界が1枚の紙だとしたら、
もうその人はペンを持って道を描こうとしている。
 
まだ、私はそのペンすら見つけられていないのに。