導かれるように
"旅のはじまりは、いつも突然訪れるもの"
そう気付いてから、私は旅の計画することをぱったり止めた。
どこか行く時も、目的地はひとつしか決めず、あとは導かれるように動いていく。
今回、山梨行きが決まったのは出発の2日前。きっかけは、友人から「山梨のフリーペーパー『BEEK』の発行人・土屋さんが暮らす北杜(ほくと)市に行ってみない?」と声を掛けられたことだった。
土曜日に特急に乗り込み、彼女の実家がある甲府へと向かう。盆地らしい、じめっとした熱が身体を纏う。彼女の実家にお邪魔して、翌朝車で北杜市へと向かった。
土屋さんとコーヒー屋で待ち合わせて、まず案内されたのは「Flowers for Lena」。 かつて牛舎だった小屋を改装し、1993年からこの土地で花屋を営んでいるご夫婦。いまはアルバイトも入れてみんなで毎朝6時に山へ行き、露地栽培している花を摘んでくるのが日課だそう。
この外観に、ぐわっと胸を鷲掴みにされた。不思議な位置についている扉も、この五角形の形も、すべてがいい。
小屋のなか。
上はドライフラワー用の小屋。このなかで花を乾燥させている。