導かれるように

"旅のはじまりは、いつも突然訪れるもの"

そう気付いてから、私は旅の計画することをぱったり止めた。

どこか行く時も、目的地はひとつしか決めず、あとは導かれるように動いていく。

 

今回、山梨行きが決まったのは出発の2日前。きっかけは、友人から「山梨のフリーペーパー『BEEK』の発行人・土屋さんが暮らす北杜(ほくと)市に行ってみない?」と声を掛けられたことだった。

 

土曜日に特急に乗り込み、彼女の実家がある甲府へと向かう。盆地らしい、じめっとした熱が身体を纏う。彼女の実家にお邪魔して、翌朝車で北杜市へと向かった。

 

土屋さんとコーヒー屋で待ち合わせて、まず案内されたのは「Flowers for Lena」。 かつて牛舎だった小屋を改装し、1993年からこの土地で花屋を営んでいるご夫婦。いまはアルバイトも入れてみんなで毎朝6時に山へ行き、露地栽培している花を摘んでくるのが日課だそう。

f:id:yukie-h24:20160612235936j:plainこの外観に、ぐわっと胸を鷲掴みにされた。不思議な位置についている扉も、この五角形の形も、すべてがいい。

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小屋のなか。

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上はドライフラワー用の小屋。このなかで花を乾燥させている。

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かなわないこと

こんな静寂な夜を過ごすのは、
いつぶりだろう。
 
枝から葉へ伝って
地面へとまるでシンクロするように雨粒が落ちる。
 
その音が耳に触れる度、
荒んだ心が少しずつもとの速さ取り戻す。
 
高木正勝さんのアルバムを流しながら、
ああかなわないな、と口から溢れた。
 
見ている世界が1枚の紙だとしたら、
もうその人はペンを持って道を描こうとしている。
 
まだ、私はそのペンすら見つけられていないのに。